「のあちゃんの場合」2007/6/21 up
2006年12月、我が家で飼っておりました「アンナ」という雑種の雌を、悪性リンパ腫という血液の癌で亡くしました。病気が発見されてから、亡くなるまでの1年と6ヵ月、考えうる限りの治療やケアをして、思い残すこと無く送ることが出来ました。けれども、大切な家族がいなくなったことは、やはりとても淋しいことでした。
そんな折、一緒にショップを経営している仲間が、自分の飼い犬を見つけた里親募集サイトを見ていて「この子、かわいいよ。」と、一匹の仔犬を示しました。それが、その後ちばわん様から、最初の里親として譲り受けた「ルース」でした。
アンナを亡くして間もなかったので、他の犬にはまだまだ気持ちが向きません。けれどもちばわん様のサイトや、ボランティアの方々のブログを読ませていただくうちに、日本にはまだまだ、たくさんの捨て犬、捨て猫がいる現実を知りました。そして、彼らの末路を知るに至って、私が一匹犬の里親になれば、その子も家が与えられ、私たちも幸せになる、そして、その子のポストに、もう一匹捨てられた子が入ることができる。一石三鳥ではないか?と考えるようになりました。その思いが冷めないうちにと、早速、仔犬に面会し我が家に迎えました。
その子の里親になってしばらくするうちに、ちばわん様のサイトで、預かり先が見つからないために、処分されてしまう命が後を絶たないこと。全国各地に劣悪多頭飼育場という名の、犬捨て場のようなところがあって、孤独と恐怖と飢えと、病気にさらされている犬達がいることを知りました。そして一人でも多くの一時預かりボランティアを、という呼びかけがなされていました。
たった一人の預かりボランティアさんが見つからなかったゆえに、処分されていく犬猫たち・・・。私にも預かりが出来ないだろうか?何か協力できることは無いだろうか?毎日その思いは募って行きました。家内ともいろいろ相談しました。今の仕事や我が家の状況を考え、結論としては今、一時預かりボランティアを行なうことには無理がある。かえって預かった犬に負担になるだろう。では、そんな私たちでも出来ることは?と試行錯誤した結果は、「もう一匹の里親になろう。」ということでした。
私たち夫婦が考えたのは、里親を申し出る再、里親の申し出が少なそうな、何らかのハンディがある子にしようということでした。かわいくて元気な仔犬はきっとすぐにお家が見つかるでしょう。でも、ハンディのある子はなかなかお家が見つからない。それなら、私たちの家で一匹お預かりさせていただきましょう。そういう子を我が家に迎えることで、どこかのもう一匹の子が、早くボランティアさんのお家に来ることができる。そう考えたのです。
ところでハンディとは何でしょうか?
私はかつて障害者といわれる人たちの施設に15年勤めておりました。そこで私なりに出した結論は「障害とは個性の一つである。」ということでした。障害者と言われる方々とお付き合いしていると、最初は確かに障害(ハンディ)が目に留まりますが、長い間一緒に居ると気にならなくなります。そして、普通の人間関係と同じで、最終的には人格と人格の交わりになってきます。
簡単に言えば、ずっと一緒に居れば、仲良くもなり、ケンカもするようになる。ただそれだけのことです。障害は一人ひとりの顔かたち、性格が違うのと同じレベルになってくるのです。そう思えば、犬も同じで、ハンディはその犬の個性。一緒に暮せばきっと仲良くなって、家族として生きていける。
実例として、亡くなったアンナは仔犬の時に貰い受けてきたのですが、非常にパワフルで手のかかる子でした。手がかかるというより、手に負えないと表現した方が正しいかも知れません(笑)。私は犬を飼い続けてきましたが、お手もお座りも教えられなかったのはアンナが初めてでした。とにかく遊びたくて集中力がまったく無いのです。散歩の訓練も出来ず、躾も入らないので、7ヶ月の時に、家内が一緒に専門家の訓練に通ったほどでした。でも、そんな彼女とも一緒に暮しているうちに、その暴れん坊なところが、なんともいとおしく、可愛くなってくるのです。暴れん坊だけれど人を疑わず傷つかない。好奇心一杯、明るくて誰にでもフレンドリー。
そんな彼女の個性も、悪く見れば障害の一種かもしれません。躾も入らない、散歩も出来ないから、ダメ犬。余りに暴れて、家の中を破壊し、どこでも排泄してしまう・・・だから、とても飼い続けることは出来ない・・・処分してしまおうか。飼った人によってはそうなるかもしれないのです。実際アンナは我が家に来る前に一度、他家に貰われて行ったのですが、3日で返されてきた犬だそうです。障害とは考え方によってはその名の通り障害にもなり、長所ともなるのです。
私たちが里親の申し出をした子は、雌の雑種で推定年齢は1.5~2歳くらい。名前を「のあ」、通称「のっち」と言います。やはり放棄された子で、しばらくの間放浪していたらしいとのこと。虐待された経験があるのか、人、特に成人男性と子供を怖がります。女性には比較的心開くようです。そして、フィラリア陽性です。
さて、そんなハンディ(個性)を持ったのっち。まず、人を怖がるということは、懐きにくいと考えることも出来ますが、思慮深くて頭がいいのかも知れません。進んで危険に近づこうとしないので、事故に合ったり、他人に連れ去られたりする心配は無いかもしれません。アンナはフレンドリーでしたが、ちょっとおめでたいほど危険に対し鈍感でした(笑)。散歩中何度も溝に脚がはまり、夏に出かけた嬬恋村の高原で、スズメバチに近づいて刺され、数時間歩けなくなりました。自動車も恐れず!道路に飛び出したこと数知れず。他の犬にも用心しないので、突然噛み付かれたこと数回。それらを思えばのっちは君子危うきに近寄らず。
フィラリアに関しても、重症ではない限り、治療は普通の飼い犬と同じように毎年予防薬を投与し、血液検査をするだけですし、それを続けていれば、やがて陰性に転じます。そして、その後も普通と同じ予防をしていけばいいので、健康な犬にすることと変わりありません。フィラリアの症状として、心臓に負担がかかるので、散歩で走り回ったり、ドッグランで遊んだりなどの過激な運動はさせられません。しかし、それは自営業で仕事に追われ、散歩の時間が余り取れない私にとっては、願っても無いことです。家や仕事場で静かに過ごしてくれれば良いので、こちらにとってはハンディどころか、とても飼いやすい犬ということになります。散歩をさぼっても、それは健康のためと言い訳できるからです・・・すみません・・・。
そういう訳で、成犬、しかもハンディがある犬でも、考え方や対応によっては、とても飼いやすい犬ということになります。若いご家庭でしたら、仔犬を飼ってアクティブに過ごすというのもいいかもしれません。でも、私たちのような中年以上の夫婦、家族にとっては、頻繁に出かけたり、犬と走り回ったりということは出来ません。その点、ある程度落ち着いた成犬ならば、ペースも合って、最良のパートナーになり得るでしょう。
また、ボランティアさんのお宅に預けられていますから、ボランティアさんによる性格や行動特性もチェック済みですので、自分の生活スタイルに合致した子を見つけることも出来ます。仔犬は確かにかわいいですが、その分当然手もかかります。どういう子になるかは育てて見なければわかりません。子育てをした方ならおわかりと思いますが、人間と同じです。そしてかわいい時期はすぐに過ぎてしまいます。
ところで、我が家に来たのっちはと申しますと、ほぼ一週間で家内には慣れました。
普通の犬と変わらない甘えかたで、先住のルースとも元気に遊んでいます。客観的に見れば、最初から私の家にいた犬としか思えません。私にはまだ警戒心を持っていますが、だいぶ心を開いてくれるようになりました。預かりボランティアさんがおっしゃっていた通り、基本的には人懐っこい甘えん坊で、遊ぶのも大好きなようです。人や他の動物、犬に対して向かって行くこともありませんし、威嚇することもありません。吠える声もまだ聞いていません。とても穏やかで、明るく、優しい子です。そういうことがあらかじめ解っていることも、成犬を飼う大きなメリットだと思います。
私たちがもっともっと仲良くなったら、また、新しいご報告が出来るかもしれません。
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→ 「ようこそ我が家へ!ルース&のあ」
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