「トメさんの場合.1」2007/6/21 up
家族になって、2ヶ月近く経った時のお手紙
トメさんがうちの子になって2ヶ月弱になります。我が家では初めて迎えた成犬です。それなりにいろいろありました♡でも、とても楽しい毎日を送っています。トメさんを迎えるまでのいきさつ等を交えて、ちょっとご報告させていただきます。
我が家では、6年ほど前に、飼っていたネコを老衰でなくしました。正確には、同居を始めた夫の母が飼っていたネコです。子どもがある程度大きくなりましたので、そろそろまた動物を家族に迎えたいと、半年ほど前から思っていました。しかし、ペットショップで子犬を購入という選択肢は私の中にはありませんでした。悪質な繁殖業者のニュース、保健所での安楽死と称する苦痛死等、胸が痛くなるような現実を、浅くではありましたが知っていましたから。たとえば、近所で子犬が産まれて、貰い手をさがしている人から譲ってもらうなんてことができないかしら?あるいは、保健所に行って、1匹でもいいから処分される子を救えないかしら?でもでも、たくさんそういう子がいるだろう、その中から果たして私は選ぶことができるのか?しかも、私自身は日中仕事で家にいられません。世話をするのは義母が主となります。手のかかる子犬だと、大変かな。さてどうしたもんだろう・・・。
そんな時、知り合いが犬を連れているのに遭遇しました。聞くと、そのワンちゃんはお友達が引っ越しで飼えなくなったので譲り受けた子で、成犬だといいます。(チワワだったので一見大人だとわかりませんでした。)その子がとても懐いているのを見て、成犬の里親になってみようと決意し、インターネットで里親募集掲示板を探しはじめたのでした。
まもなくして、「いつでも里親募集」というホームページを発見。そのページ以外にも、あまりにもたくさんのワンニャンたちが日本中で里親さんを待っていることに、改めて驚かされました。そして、処分されてしまうワンニャンたちの現状に、悲しく、腹立たしい気持ちを更に深くしました。と、同時に、ボランティアさんたちが、地道で辛いことの多いであろう保護活動を、一生懸命続けておられることに心を打たれました。
しかし、正直いって、「いつでも」のたくさんのワンたちの中から、選ぶのが大変でした。かわいい子がいっぱいでしたので。しかも、純血種のダックスやチワワ、ラブ、ゴールデン、ハスキー、シーズーなどなど、ペットショップで高額で売られていたであろう子たちがいっぱい。なんで?流行り物と同じように、飽きたから捨てるのでしょうか・・・。でも、勝手な思い込みかもしれませんが、そういう子たちはその犬種にこだわりを持っている人たちに一目惚れされて、里子に行けるような気がして、私は雑種にしようと決めました。昔実家で飼っていた犬も雑種でしたしね。
また、子犬や若い犬から先に里親が決まるということなので、かわいさに誘惑されそうになりながらも、初志貫徹!涙を呑んで(?)2歳未満の子は選択肢からはずしました。そしてようやく数頭に絞り込みました。しかし、私がいろいろ迷っている間に、絞り込んだ中の1頭が、掲示されなくなりました。きっと里親さんが決まったのでしょう。こりゃー、モタモタしてられない、こういうことってタイミングが大事なんだ!そして慌てて一番気になっていた「トメサン」なる子の預かりボランティアさんに連絡をとってみたのでした。
すぐに家族全員で「お見合い」をさせてもらいました。
「トメサン」は、私が思っていたよりちょっと大きい子でしたが、尻尾ふりふり、愛想も良くて、推定6~8歳(フィラリア陽性)というわりにはとても元気そうでした。私が「この子を飼いたいんだけど、よろしいでしょうか?」というと、家族全員、異議なし。「お見合い」を終えて帰る時、もう「トメサン」は我が家の車に乗る気でいました。このことは後で預かりボランティアさんに「トメサン、それはないんじゃないの~!」と突っ込まれる材料になってしまいました(笑)
その後、1週間後には「トメサン」は預かりボランティアさんに連れられて、うちにやってきました!
実は、私は里親になる為には、いろいろ審査のようなものがあって、けっこう厳しいのではないかと身構えていました。里親になりたいといって譲り受けた子を虐待したり、動物実験に使ったりする里親詐欺の話も聞いていましたし、そこまでいかなくても、里親希望の人が、実はペット飼育不可の住宅に住んでいたり、家族全員の同意を得ていなかったり。ボランティアさんの、ワンニャンたちの幸せを願う気持ちを踏みにじるような人も、残念ながらいるそうで、慎重にならざるをえないのだそうです。ですから、身分を証明するために、保険証や名刺などを用意し、こちらの「トメサン」を譲り受けたい気持ちをきちんとお伝えしなければと思っていました。
ところが、家族全員で「お見合い」に行ったのが効を奏してか、すんなりと「トメサン」は、「トメさん」になりました。実は、私が考えていた名前があったのですが、呼びにくいという理由で家族の反対にあい、トメさんのままでいい、ということになりました。本犬も呼ばれなれた名前の方がいいでしょう。ちょっとおばあさんみたい、とは思いましたが、保護した当時はガリガリでボロボロで、本当にお年寄りみたいだったということです。私の考えていた名前も、思い入れの強いものでしたが、名前はあくまでよその犬とうちの犬を区別するためのもので、愛情をもって呼べばどんな名前でもいいや、と思うようになりました。「えっ、トメさんっていうの?!」と、友達にもけっこう笑われますが・・・(笑)
トメさんは預かりボランティアさんが帰る時、クンクンと後追いしました。しばらく悲しそうに玄関で落ち着かなくウロウロしていました。こちらも辛かったのですが、なるべくそっとしておこうと思いました。
しばらくして、うちに来て初めてのお散歩に連れて行きました。その時、ちょっとした事件が。あるおうちの前に差し掛かったとき、玄関先にいたワンコ(たぶんキャバリア)に突然吠え掛かられました。しかもその子、リードをしてなかったんです!飼い主さんも玄関先にいたので、ちょっとの間だけなら大丈夫だろうと思っていたらしくて!相手が飛び掛ってきて、車道に出てしまって、すごくびっくりしましたが、トメさんは驚いた様子でしたが吠え返すこともせず、落ち着いていました。さすが、放浪して苦労してきただけのことはあるなあ、と、誇らしく思いました。(キャバリアちゃんはすぐに飼い主さんに捕らえられ、車にひかれたり、行方不明になったりしませんでしたよ。飼い主さんは私たちに平謝り・・・。やっぱりワンコはノーリード、絶対にだめですよね。)
その後、トメさんは着々とうちの子になっていきます。
登録し、鑑札もつけ、病院で検診も受けました。病院でもおとなしくでき、獣医さんにもほめられました。私たち一家も、親ばかロードを一直線にひた走っています。特に、トメさんは日中家にいる義母のことが大好きになり、金魚のフン状態です。義母も口では「暑苦しいなあ、もう」などといいながら、完璧にメロメロです。
一時期、お留守番ができなくなって、義母がちょっと出かけている間中、ずっと鳴き続けたことがありました。(マンションの管理人さん談)また、留守番中にケージから脱走してしまい、玄関のドアを開けたら、そこに尻尾を振りながら待っていたこともありました。(どうやって脱走したかはいまだに謎です。)
また、時々うちの娘(小学2年生)をなめるようなところも見られました。そこで、なるべく娘からご飯を与えるようにさせ、「○○(娘の名前)は、トメさんのことが大好きなんだよ、トメさんがいじめられたら守ってあげるっていってるよ。」と言い聞かせているうちに、「まあ、しょうがないか」と思ったようで、割と言うことをきくようになってきたと思います。娘は今、夏休みなのですが、朝、私が仕事に行くとき、「行ってくるね。」といって娘を抱きしめたら、「お母さん、トメさんにもギュッと(抱きしめて)してあげて!」と言われてしまいました。普段は、ワンコが嫌がりそうな、大きな音をたてたり、荒い扱いをしたりして、その度私に怒られている娘ですが、本当にトメさんのことが大好きなのです。トメさんのどこが好き?と聞いてみたら、「丸くなって寝てるところがかわいい」「毛がほよほよして柔らかい胸のとこがなでると気持ちいい」とのことです・・・。
うちの夫に対しては、ちょっとまだビクビクしています。特に抱きかかえようとすると、怖がって一声キャン!と鳴くことがあります。でも、鳴いた直後に、我に帰って「お父さん、鳴いちゃったりして、ごめんなさい」とでもいうように、一生懸命「お手」をします。右手と左手をとっかえひっかえしながら・・・。何か嫌なことをされる!と思うのでしょうか。放浪している間に、男の人にひどい目に合わされたりしたのでしょうか。夫のいうことはちゃんと聞きます。好きなんだけど、ちょっと怖い、といった感じです。ゆっくり見守っていけば、そのうちビクビクもなくなっていくと思います。
トメさんは本当にいい子です。
どうしてこんないい子が、どれくらいの期間かわかりませんが、放浪していたのでしょう。ダメといわれたことはしませんし、いたずらは全くしません。(とはいえ、ちゃんとしつけもしていますよ、甘やかしてはいないつもり!)問題があるとしたら・・・。朝の散歩に行く前に、狩猟本能が騒ぐのでしょうか、遠吠えを2,3回すること(そんなにうるさくはありません)。あとは、なぜか散歩の時、女の子なのにマーキングもどき(?)をすること。しかもその時、男の子みたいに片足を上げ気味におしっこすることがあり、はしたないのです!「もう、やめなさい、女の子なんだから!」と言ってもわからないようなので(泣)、根気よくしつけていきます。そのくらいです。
子犬は確かにコロコロでムクムクで、かわいいですよね。でも成犬には成犬の魅力があります。
それまでの人生ならぬ「犬生」に裏づけされた、個性や強さを尊重しつつ、家族の一員として迎え入れ、信頼を築いていく。緊張感をともないますが、我が家にとっては有意義でエキサイティングで、楽しい毎日です。自分の環境のさまざまな変化を受け入れ、柔軟に対応しながらも、自己主張することも忘れない。なかなかどうして、したたかな面も持つトメさんはとても魅力的だと思います。過酷だったにちがいない犬生を送ってきたトメさん。よくぞここまで生き延びてくれたものです。トメさんが我が家で安心しきってたるみまくってデロ~ンと横になっているのを見ると、とてもうれしくなります。無防備にヘソ天してお腹などさすってもらう彼女の顔は、まるで子犬のようです。
高齢、雑種、病気(フィラリア)持ちのトメさん。
里親探しの弱点が三拍子揃っている子ですが、高齢とはいえ落ち着きもあって元気なので、これからも健康に気をつけていけば、うまくいくと、あと5,6年は生きてくれるかも知れません。当然、生きてもらうつもりです!それに、雑種で、親犬がわからない子は、想像力をかきたてられます。この耳のあたりはシェパっぽいな、とか、黒柴も入ってるかも、とか・・・。見ていて飽きないし、楽しいですよ。フィラリアについてはあまりよくわからなかったので、トメさんを譲り受ける前に自分でもいろいろ調べましたし、預かりボランティアさんに説明を受け、検診に連れていった獣医さんにも相談しました。結果、症状が落ち着いている限り、今の治療のやり方がやはりベストなのだと納得しました。何も面倒なことはありません。予防薬を月に一回、通年で飲ませて、今いる成虫の寿命を待つのです。若いワンちゃんだったら、手術や注射という治療法もありますから、どうか、これから里親になろうと思っている方、そんなにフィラリアを恐れないでください。
などと、いろいろ書いてきましたが、トメさんとの生活は、まだ始まったばかり。これから何があっても、絶対に最後まで一緒にいます。今までトメさんのために尽力してくださった多くのみなさんに心から感謝します。そして、どうかどうか、物言えぬかわいそうな動物たちが、これ以上増やされませんように。私にはたいしたことはできませんが、トメさんのことをだれかに聞かれたら、積極的に話していきたいと思っています。こういう子です、保護活動をしている人たちのおかげでうちに来た子です、とてもいい子です、と。
一見、私たち家族がトメさんを選んだように見えますが、人間にはわかりえない、深い深いところでは、トメさんの運命が、私たち家族を選んだのかもしれませんね。選んでくれてありがとう、トメさん!!
「トメさんの場合.2」2007/6/21 up
家族になって、もうすぐ10ヶ月経つ時のお手紙
トメさんがうちに来てもうすぐ10ヶ月になります。トメさんレポートその1では、トメさんと生活できるうれしさに、ただただ冷静さを欠く文章を書いてしまいました。お恥ずかしい。でも本音だもん、だってかわいいんだもん・・・。
トメさんはいい犬です。
いたずらをしないところがいい。あまり吠えないところもいい。他人に対して媚びないところがまたいい。食べ物は何でも食べるし、お留守番もできる。家の者が帰宅すれば尻尾ふりふり笑顔でお出迎え。排泄は朝夕のお散歩で。毛の長い子ではないので、トリミングサロンなどにお世話になったこともない。このように書くと、家庭犬として申し分ない子のように聞こえるかもしれません。
いい子なのですが、時々「ん?」と思うことがあります。トメさんは散歩の時、しょっちゅうクンクン臭いかぎをします。こちらが見つけるのが遅いと拾い食いもします。ワンコさんによってはガウガウすることもあります。室内トイレが使えないので外で排泄しますが、メスなのにマーキングもどきをします(ご丁寧に足まで上げることも)。抱っこが苦手です。うかつに抱っこしようとしたり、体勢を変えようとすると、「キャン!」と鳴いて噛み付こうとすることがあります。
次に、実はこれが一番私が気になっていることなのですが、子ども(人間)はあまり好きではないようです。うちの子どもは、しつこくしたり、乱暴な扱いをしたり、甲高い声を上げたりすることは少ない方だと思うのですが、馬鹿にしているのか、怖いのか、時々うなったり噛み付いたりすることがあるのです・・・。子どもも落ち込むし、私も悲しくて。トメさんのことが大好きで、彼女なりに優しくしているのに、なぜだろう・・・。
そればかりか、私がいない時(義母はいましたが)、家に遊びに来ていた子どもの友達にやってしまったことがあります。ふざけていて、突然トメさんの至近距離にいってしまったらしい。たぶん驚いたのでしょう・・・。本当に「軽く」ではありましたが、相手の保護者さんには平謝りでした。犬好きな方だったので許していただけたのですが、本来どのような状況でも、許されることではありません。
家族みんなで可愛いがり過ぎて、増長させてしまったのか。群れの中での自分の位置を、子どもより上だと思っているのか。いわゆる権勢症候群?いろいろ調べてみてもよくわからない。○○さんに相談してみて、厳しくすることも必要だと思い、私なりにスパルタ精神でいろいろやってみた時期もありました。が、ものすごく!ストレスが溜まるんです。家族にも「なるべく厳しくして!」と、言ってはみたものの、だれもやりゃーしない(泣)。リーダーになるべく、散歩の時、やってはいけないことをしたら、「ノー!」と声をかけたり、リーダーズウォークの真似事をしてみたり。効果としては、私の散歩の時はあまり引っ張らなくなったかな?という程度。なんだか私一人だけ憎まれ役になっているみたいで、納得がいかない。本当は、私だって、ベタベタに可愛がりたいんです・・・。
インターネットやら、本やら、いろいろ探してみましたが、はっきりいって何が正しいのかわからなくなってしまうんです。自分が勘違いしていたことが見えたような気がしたのに、翌日にはそれもどうやら違うように思えてきたり。こちらの冷静さも足りないのでしょうが、混乱するばかり。また、しつけに関する情報は、子犬について書かれている物がほとんど。成犬、しかも元放浪犬をしつけなおすのは、やはり無理なのかしら。しかし、飼い主としては、他人に危害を加える可能性は、絶対に取り除かなくてはならない。
そこで、悩んだ結果、しつけ方教室に行ってみることにしました。
義母には「トメさんはこのままで十分いい子なんだから、わざわざそんなところへ行かなくてもいいじゃないか」と反対されましたが。実は家の向いに動物病院があり、トメさんもそこに行ってまして、そちらで定期的に「しつけ方教室」を催しているのです。そちらの副院長は、「病気にならないために、動物病院を利用してほしい、動物が喜んで来てくれる病院にしたい」ということで、鍼やバッチフラワーレメディを取り入れたホリスティック医療も行っています。近いので、仕事を終えて駆けつければなんとか間に合います。トメさんをどうこうする、というよりは、私のストレスを少しでも減らすきっかけがつかめれば・・・そんな思いで、やはり行ってみようと決めたのでした。
初回は犬を連れずに人間だけで勉強会です。
できれば家族全員で来てほしいとのこと。「トメさんを無理やり訓練してやろうなんて思ってない、私自身が、飼い主として勉強したい。」と自分の気持ちを説明したら、当日は義母も、娘と一緒に来てくれました。スライドなどを見ながらユーモアたっぷりのお話を聞き、ワンコさんたちのデモンストレーションを見て、それから事前アンケート(かなり詳しく、具体的に答える)をもとに家族ごとに少しお話をしました。
私は病院のホームページでしつけ用のリードとカラーを使う、と聞いていたので、「もしかして、あのチェーンでできたやつ!?」と思っていたのですが、ちゃんと布製のリードとカラーでした。まずは安心。先生はチェーンについては、「いまだに訓練士の中にはあれを勧める人もいますねえ・・・。」と、懐疑的です。「しつけ教室」ではなくて、「しつけ方教室」と、あえて名づけてあるのはなぜか。それは犬をしつける教室ではないから。飼い主に「しつけ方」を教える教室だから。ということです。また、しつけには家風があっていい、とのこと。他人に迷惑をかけない、というのが「しつけ」をする最大の目的ですが、それぞれの家庭によって、犬を飼う目的はちがうのだし、犬の性格もさまざまなので、その家に合わせた「しつけ」ができればいいのだということです。こういうお話を聞いただけでも相当気が楽になりました。単純な私。
次の週、いよいよレッスン初日。うちを含めて4家族。やっぱり、トメさんは一番年上。他のワンコさんたちとガウガウすることもなく、まずまずの滑り出し。と思ってら、おやつに興奮してソワソワ、バタバタしています。さすが食いしん坊トメさん。しかーし、先生から容赦なく「おデブ宣告」されてしまいましたよ。気にはなっていたのですが、改めて他人からいわれると、効きます。レッスンでおやつを使う分、ごはんを減らしてダイエットしなきゃ、と決心したのでした。
レッスンですが、人間の方が緊張してしまい、なかなかうまくいかない。初めてだから当然ですが。特に難しいのが「ノー!」を言わずにいることでした。「うちのレッスンではノー!は使いません!」と最初に言われていたのに、ついつい出ちゃうのです。おやつを出すタイミングも私には難しい。そもそも運動神経がかよっているのかが疑わしい人間なので、自分のトロさに呆れるばかりです・・・。ワンコさんたちは楽しそうです。おやつがもらえるし、先生もインストラクターさんも犬にはやさしいですから。しつけられているのは人間の方。まさに「飼い主しつけ教室」。
宿題を毎回出されるのですが、なかなか時間も十分とれないし、おやつを差し出して指ごとかじられたり、私のやり方がまずいせいもあって、他のワンコさんより時間がかかったり。でも、どうにか週一で6回、すべてのレッスンをやり遂げました。最初の勉強会を入れて、「しつけ方教室初級」全7回・・・。
結果は・・・。トメさんはともかく、私にはとても勉強になりました。自分の勘違いやダメな点は、やはり客観的に第三者に見てもらうと一番わかりやすいと思いました。そして、飼い主が「成犬だから・・・」と、諦めてしまっていては何も始まらないんですね。諦めるのではなく、「時間がかかって当たり前」ぐらいに焦らずにいられれば、これから先も、もっとトメさんと仲良くやれる。そんな自信はついた、かな?あれこれ出される指示を理解しようとじっと私の目を見る「可愛いトメさん」。表情が豊かになったように思えて、ますます「可愛い可愛いトメさん」になりました。
そんなトメさんですが、まだまだ飼い主が基本的なしつけのやり方を教わっただけですから、見違えるように変わったかというと、そんなことは、当然、ありません。続けていかなければ意味はない。で、「初級」の次は、「中級」に行くのが流れ。こちらの動物病院では、「アジリティ初級」か「クリッカー初級」に進級することを勧められます。トメさんには「クリッカー」を勧められました。昼のクラスしかないけど、夜のクラスも希望があればやります!との先生のお言葉に甘えて、二週間くらい間があきましたが、申し込みました。なんと、贅沢にも個人(個犬)授業。
「クリッカー」は、ご存知の方も多いと思いますが、手のひらに収まるくらいの大きさのおもちゃで、指で鳴らすと「カチン!」と音が鳴る物です。犬がいいこと(飼い主が望むこと)をした瞬間に「カチン」と鳴らし、ごほうびをあげる。クリッカーが鳴るとうれしいことがある!と犬に認識させて、どうやったらクリッカーを鳴らすことができるか、犬本人(本犬)が考えるようになり、望ましい行動を作っていくという、もともとはイルカのトレーニングのために考えられた、しつけの方法のひとつです。
トメさんはプキュプキュと音の出るおもちゃが嫌いです。もしかしたらクリッカーの音も嫌がるかもしれないと思いました。最初はいちいち音に驚いて目をパチクリさせていましたが、向き合って、私の背中の方で音を鳴らすようにしているうちに、慣れてくれたようです。
でもタイミングが難しい。動物はみんなそうですが、まさに行動を起こしたその瞬間にクリッカーを鳴らしてあげないと、犬は何が良かったのかがわからない。不器用な私は何度も「今!」「今!」と先生を叫ばせてしまいます・・・。鳴らさないうちにご褒美を取られたり、大変です。
しかし、どうにかトメさんもクリッカートレーニングは楽しいものだというのがわかってきたようで、それはそれでいいのですが、弊害が1つ出てきました。それは、要求吼え。クリッカーを見せると、ご褒美がもらえることがわかるので、早くちょうだい!とばかりに尻尾を振り振り「ワオーン!」と・・・。それが、トレーニングの時ばかりではなく、普通の食事の前にもするようになってきたのです。何しろ集合住宅なので、ちょっとうるさくて困ります。これについては、要求吼えをしたら、私がごはんの容器を持って隣の部屋へ行って、戸を閉めてしまうということを繰り返していたら、やらなくなってきました。
なんだかんだで、クリッカートレーニングの初級、全4回、やり終えました。
結果は・・・。どーなんでしょう。とりあえずトレーニングの意味とやり方を、飼い主が理解した、といったところでしょうか。でも、ご褒美を使わなくても、「伏せ」は(ようやく)できるようになりましたよ。あとはちょっとした芸とか・・・。今は少ししかできなかった「待て」を、徐々に長くしていこうとしています。いっぱいお金と時間をかけて(私にしては)その程度?といわれそうですが、はい、その程度です。あとは毎日こつこつ続けていくしかない、と思っています。
でも、トレーニングをしていくにつれ、ちょっと解りかねる性格が、はっきりしてきたように思います。それは私たち家族に対する信頼度が上がってきたからなのだと思いたいのですが。トメさんは、かなり「和犬」の性格なのです。もともとあまり人に媚びる性格ではなかったのですが、すっかり「うちの子」になってしまって、他人(他犬)を寄せ付けたがらなくなってしまったようです。だから、他人から見れば、愛想のない犬、場合によってはちょっと怖い犬だと思います。が、「うちの人間」に対してはニコニコなので、そのギャップがまた飼い主からみれば可愛い限りで・・・。そして、飼い主としては、飼い犬の、他人に対しての迷惑を最小限にしていく責任があります。「うちの子」の性格がはっきりしたのなら、その性格に応じて方法を考えて対処していきやすい。ですから私にとって、「しつけ方教室」「クリッカートレーニング初級」は、決して無駄ではなかったと思っています・・・・。
もうすぐトメさんがうちに来て一年になります。
「うちの」トメさんは、頑固で臆病で、そのくせ気が強くて。でも「うちの」人間が大好きで、食いしん坊で、甘えん坊さんです・・・。今は一人っ子で、のほほ~んと過ごしているせいか、以前見られたちょっとしたずる賢さ、柔軟さといった性格はあまり出ていないようです。前の預かりボランティアさん宅では、大勢のワンコ、ニャンコと暮らしていたので、新入りさんの教育係のような面も見られたそうです。我が家がもっと広ければ、また、私が日中家にいられれば、子犬さんの預かりさんをやって、トメさんの「世話焼きおばちゃん」ぶりを見てみたい気もします・・・。
今、トメさんはなぜか肝臓があまりよくないらしく(血液検査でわかったのですが)お薬を飲んでいます。特に辛そうな様子は見当たらないし、原因も不明です。(肝臓以外の検査結果はすべて正常値。)一ヶ月お薬を飲んで、いくらか改善されましたが、まだ正常値にはほど遠いので、もう一ヶ月お薬を飲んで、また血液検査です。心配ですが、健康管理をしっかりやって、絶対長生きしてもらわなくては、と思っています。そうでなくては、せっかく保護してくださって、うちに来るまで大事にケアしてくださったボランティアのみなさんにも申し訳ない。黒い背中に、みなさんの優しい思いをいっぱいのっけてやってきたトメさん。もっともっと、幸せになろうね。
この一年、トメさんが来なかったら経験しなかったであろうことをたくさん経験し、考えもしなかったことをいろいろ考えさせられました。落ち込むことも少しはありましたが、気づいて、見つけて、噛みしめた幸せの方が何倍も多かった・・・。トメさん、あなたも言葉がしゃべれたら、実はお母さんに言いたいこといっぱいあるんだろうね・・・。でも、うちの子になってくれてありがとうね。ずっと、うちの子でいてね。
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